社長のきもち 2024年9月
朝晩は気温も幾分下がり、過ごしやすくなってきましたが、日中の気温はまだ30℃を超える日が多く、夏の気候が続いています。広島市の9月の最高気温を振り返ってみると、最高気温が30℃を超えた真夏日は27日もあり、ほとんど毎日が真夏日だったことがわかります。35℃を超えた猛暑日も10日あり、9月とは思えない真夏の9月になりました。
我々が子どもの頃はこれほど暑かったのだろうかと50年前の1974年9月の広島市の記録を調べてみると、30℃を超えた真夏日はわずか1回しかなく、最高気温は25℃から27℃の間で推移していました。同じ年の1974年8月の広島市の気温を調べてみると、30℃を超える真夏日は続いていたものの、8月でも最高気温が33℃を超えた日は4回しかなく、猛暑日を記録した日はありませんでした。
今年の8月は各地で猛暑の日が続きましたが、50年前に比べると明らかに暑さのレベルが変わり、過去の夏と比べにくくなりました。この先も毎年気温が高い時期が多くなると、春や秋の時期が短くなって季節感に変化が生まれ、農作物の生育や我々の生活に大きな影響をもたらしそうです。
来年4月開幕の大阪万博まで200日を切り、急ピッチで会場内の整備が続いています。人手不足や資材の高騰に加え、会場へのアクセスの悪さや外国政府との交渉の難しさもあったことから海外パビリオンの建設は遅れていましたが、ここに来て建設も一気に進み始めました。民放テレビ局の8月のアンケート調査によると、大阪万博の認知度は90%を上回っているものの、関心度は60%程度に留まっており、少し気になる結果となっていました。開催者側は会期中に2820万人の来場者を見込んでいるようですが、6月時点での前売券の販売は当初見込みの2割程度(ほとんどが協賛企業が購入)の状況で、売れ行きがあまり良くない状況のようです。この状況を踏まえ、これまでウェブサイトでの予約による電子チケットを前提に入場券を販売していましたが、チケットの販売を促進する目的で10月からは予約無しで購入できる紙チケットの販売も行うことになりました。
国民の関心が高まらず入場券の売れ行きが芳しくない理由はいくつかあるようですが、かつての万博のような国を挙げての国家プロジェクトの機運は薄く、大阪府および大阪市の臨海地区の再開発を目的としたプロジェクト色が強いとの声が多くあります。またインターネットも普及し、日常的に世界のあらゆる情報に触れることができる現代社会では、万博に行って世界に触れる意味や、万博から世界に向けて日本の最先端技術や情報を発信する意義が薄れているようにも感じます。
1970年に同じ大阪で開かれた万博は「人類の進歩と調和」がテーマでした。今回開催される2025年の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」となっています。技術が急速進歩した今の時代では、かつて感じた未来より、これからの未来との時間的な距離は縮まっているように感じます。人に優しい未来のデザインを今回の万博で感じ取れることを期待したいと思います。