2023.11.28 社長

社長のきもち 2023年11月

11月初旬はこの時期とは思えないほど気温の高い日が続いていましたが、中旬以降一気に気温も下がり、晩秋と初冬のせめぎ合いが続いています。各地の紅葉の見頃も通り過ぎ、北西からの風が強い冬の季節へと進んでいきそうです。

これから乾燥した天候が多くなりそうですが、現在西日本を中心に深刻な「水不足」が続いています。今年は日本列島への台風の接近や上陸が少なかったことや、秋雨前線の活動が弱かったこともあり、まとまった雨の降らない傾向が続きました。近畿の水かめである琵琶湖の水位はマイナス62センチまで下がり、普段は水面下で見ることができない「坂本城」の石垣が水位の低下により出現しています。また愛媛県大洲市の鹿野川ダムでは貯水率が0%となり危機的状況が続いています。この他の各地のダムでも貯水率が軒並み低下しており、取水制限など今後心配な状況が続きそうです。

 

 

私の地元岩国市の観光名所で、日本三名橋や日本三大奇橋に数えられている「錦帯橋」が創建350年を迎え、世界文化遺産登録に向けてその気運が高まりつつあります。今月23日には岩国市内で登録に向けた国際シンポジウムも開催され、世界遺産の候補地を調査するイコモスのメンバー3人も来日してこのシンポジウムに参加しました。世界文化遺産登録に向けては、架け替えを繰り返してきたため350年前の創建当時の部材が残っていないことや、伝統行事との関わり、橋周辺の整備(駐車場の位置)などが課題として挙がっており、文化遺産としての価値をどこまで判断するかが登録に向けた論点になりそうです。

 

石積の橋脚に5連のアーチからなる「錦帯橋」は、全長193.3メートル、幅員5メートルの世界的に見ても珍しい木造アーチ橋で、組木の技術によって、釘は1本も使わずに造られているのが特徴です。過去に洪水や台風被害で流失し、2度の再建が行われた「錦帯橋」ですが、組木の技術には目を見張るものがあり、その技術を伝承しようと江戸期に作成した図面が今も十数枚残っている点や、その技術を後世に伝える人財(エキスパート)を代々育成してきた点は歴史的な価値も高いように感じます。先月末に放送されたNHKの番組「ブラタモリ」でも「錦帯橋」が散策先に選ばれ、組木の技術の高さや人財育成などについて放送中に取り上げられていました。今後世界文化遺産登録候補として、気運がさらに高まることを期待しています。

さて今週末からいよいよ師走に入ります。

今年もあと1か月ですね。

気忙しい月になりそうですが、今年の振り返りをしつつ、来年に向けての準備を始めていきましょう。