2022.05.11 社長

社長のきもち 2022年4月

まだまだ肌寒さが残る気候ですが、春を待ち望んでいた花たちが一斉に咲き始め、新緑が映える季節へゆっくりと進んでいます。よく訪れる公園の土手には、この時期らしいタンポポの可憐な花が見受けられ、小さな春をここでは感じることができます。

 

 

天候にも恵まれた先の日曜日、日本三景の一つ宮島(正称は厳島)を久しぶりに訪れました。

 

宮島は、海の上に佇む朱色の大鳥居がシンボルとして有名ですが、老朽化に伴う大規模な補修工事が令和元年から始まり、その全景を残念ながら見ることができない状況が続いています。神社側の発表では補修工事は年内に終了し、来年には神々しい大鳥居の姿をまた見ることができるようです。島内はコロナ禍の影響で、宮島を訪れる外国人観光客はほとんど見かけない状況ですが、蔓延防止等重点措置が解除されて以降は国内の観光客のにぎわいは戻っているとのことです。この日も、多くの観光客が訪れていました。

 

今回私が宮島を訪れたのは、毎年この時期に行われる「桃花祭御神能(とうかさいごしんのう)」という行事で催される狂言の観賞が目的でした。この行事では、厳島神社内の能舞台で、喜多流/観世流の「能」と、大蔵流の「狂言」が3日間にわたって奉納されます。能と狂言と聞いても我々には馴染みが薄く、どこか敷居の高い古典芸能のイメージがありますが、「能」は舞踊的要素が強い、悲劇的な内容の音楽劇に対して、「狂言」はものまね・道化的な要素を取り入れた喜劇的な芝居劇で、今の時代に観ても、思わず笑ってしまう庶民的な親しみさがあります。テレビでもよく見かける野村萬斎さんも関東の和泉流の狂言役者として有名です。

 

狂言鑑賞のきっかけは、ダイテックが法人会員として活動している「FDOS(富士通パートナーズデザイ二ングオープンソリューションズ協会)」の会員の方の紹介で、関西の大蔵流狂言方 茂山千五郎家の方々と関りができたことです。これまでまったく知らなかった狂言の世界に少しずつ触れることで、日本の古き良き伝統芸能の世界を再認識することができているように思います。

コロナ禍で主要な公演や興行の中止が相次ぎ、また狂言を楽しむファン層が年々減少する中、狂言を担う役者さんや関係者の方にとっては受難の時期が続いていますが、室町時代から続く貴重な日本の伝統芸能である狂言を後世に伝える活動に我々も何かの形で支援したいと思っています。

 

今回、宮島の能舞台では、茂山千五郎家との出会いから、京都で狂言の稽古を5年近く続けているダイテックの山村常務が「口真似」の演目で他の役者さんと共演で登場し、役者さんらしい立ち振る舞いと声で熱演をしていました。この伝統ある宮島の能舞台で狂言を演じるのはとても素晴らしいことですね。

中央で舞う山村常務

 

さて新型コロナについては、「第6波」のピークを越え減少傾向が続いていますが、減少スピードは緩やかで、ゴールデンウイークを境に、「第7波」へつながってしまうのではないかと懸念する声も出ています。新たなワクチンや経口治療薬の開発も進み、昨年とは状況は変わりつつありますが、まだまだ気を緩めることができない状況はしばらく続きそうです。来年こそはコロナ感染の心配のない ゴールデンウイーク になっていることを望むばかりです。

 

この時期になると、春風に吹かれて鯉のぼりが気持ちよく泳いでいる姿を見かけることが多くなりました。春はたけなわ、この鯉のぼりとともに、平和と平穏を願う5月を迎えたいと思います。