2023.09.28 社長

社長のきもち 2023年9月

朝晩はいくぶん涼しくなってきましたが、9月の後半になっても日中は気温の高く暑い日が続いています。まさに残暑厳しい気候ですが、もともと残暑とは8月のお盆明けから秋分の日あたりまでの暑さのことを指します。ただ今年は秋分の日が過ぎても気温は高めで、「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉の通りとはならないようです。

 

 

東京電力は、先月24日から福島第一原子力発電所の敷地内で貯蔵していたALPS(Advanced Liquid Processing System)処理水の海洋放出を開始しました。ALPS処理水とは、福島第一原子力発電所の建屋内にある放射性物質を含む水について、トリチウム以外の放射性物質が安全基準を満たすまで浄化した水のことで、トリチウムについても安全基準を十分に満たすよう処分する前に海水で大幅に薄めています。今年7月4日には、国際原子力機関(IAEA)から、ALPS処理水の海洋放出について、国際安全基準に合致していること等を結論付ける「包括報告書」も公表され、その安全性が裏付けされています。ただ今回の海洋放出については中国が大きく反発し、放出が始まった先月24日からは日本産の水産物の輸入を全面的に停止しました。

 

2022年度の水産白書の統計によると、日本の水産物の輸出先は、第1位が中国で22.5%、第2位が香港で19.5%となっており、中でも主要輸出品であるホタテ貝については、中国への輸出が51.3%と半数以上を占めており、今回の水産物の輸入停止によりホタテの過剰在庫や価格下落が顕在化し、漁業者らの苦悩は深まっています。

 

中国で発生するPM2.5については海を越え、中国に近い九州ではその被害を大きく受けている現実もある中、今回の中国の対応について批判があるのも事実です。ただ海も空も公のものとして捉えるのであれば、海への汚染も、空への汚染も放出する国の責任において十分対策を取らなければならない課題といえます。

 

今回の処理水の海洋放出が両国の政治的な駆け引きに使われないことを望むばかりです。

 

 

 

猛暑が続いた今年の夏の影響で、例年ならこの時期は満開のコスモスの花も、今年はまだまばらな状況です。これから日中の気温も下がり、朝晩の涼しさが増すと、コスモス(秋桜)の季節に変わっていきそうです。秋はもう少しですね。